古代史
先日読書会のなかで「ゲルマン諸族の移動の話って、生徒にどう伝えれば意味のあるものになるんだろうか」という雑談があった。これ、私が見る限りでは「意味がないとは言わないが、そこまで重視するものでもないし、そもそも『山川世界史B』といった教科書の…
4. 結論と補足 以上、教科書に依拠して、範囲の内容を網羅的に扱い、可能な限り楽をしながら (?) 、生徒自身に何かを考えさせ論じさせる実践を考案しました。何より重要なテキストである教科書を、しっかりと読み解くだけの読解力をつける。そのうえで、そ…
3. 古代ギリシアを例にした授業法の提案 3. 古代ギリシアを例にした授業法の提案 3.1 導入部 (1時間) — カード作成の利点を理解する 3.2 民主政治の成立 (1時間) 3.2.1 メタ能力:文章読解 3.2.2 メタ能力:意義と限界を想像し論じる 3.3 ペルシア戦争と民主…
2. 身につけるべき能力ってなんだろう? 2. 身につけるべき能力ってなんだろう? 2.1 情報を読み解き、把握し、まとめる能力 2.2 情報を整理し、それを論理的に整序する能力 2.3 情報を意味づけ、意義づける能力 2.4 新たな情報に応じて、内容の構成を柔軟に…
1. 知識構成型ジグソー法が抱える難点 1. 知識構成型ジグソー法が抱える難点 1.1 問いは教師が立てて良いのか 1.2 そもそも科学等において必要なのは、与えられたピースをもとにパズルを解く力ではない 1.3 対象の限定と、データベースの不在 *
今回は授業法に関する話をしたいと思います。とくに、近年 (ずっと前から?) 流行りの協調学習だとか、協同学習だとか、対話的で深い学びだとか、そういうものの限界を指摘し対案を提示すること、それを目標とします。読書会の内容がオリエントと古代ギリシ…
Ⅱ 古代エジプトを歩く アレクサンドリア図書館で勉強する人々 では、ディスカバリーツアーの内容を見ていきましょう。ツアーは、画像のようにテーマごとに細分化されています。 ツアーの例ツアーの例 内容も多岐にわたっており、政治から学問、ピラミッドな…
アレクサンドリアの街並み この記事では、ゲームを使って歴史を勉強する可能性について論じていきます *1。 もちろん、歴史の学習にあたってゲームやマンガを活用することはこれまでも多く行われてきました。たとえば、ある人物を扱ったゲームやマンガを持ち…
6. まとめと課題 ― 高校世界史におけるアッシリア像を考える 一連の記事の冒頭で掲げた二つの問いは、「アッシリアが1400年続いたとは、一体どのような事態を指すのか」「アッシリアの政策は本当に『強圧的で苛酷』なものであったのか」というものでした。こ…
4. アッシリアの対外政策 ― アッシリアはバビロニアとどのような関係を結んだか 本筋に戻りましょう。本節では、ここまでで紹介したような同一性を有したアッシリアが、他地域に対してどのように関わったのかを見ていくことにします。それは、記事①で引用し…
3. 神アシュール像の欠落 やや横道にそれるのですが、神アシュールと土地アシュールの結びつきを考察するうえで興味深いのが、アッシュル・バニパルの父エサルハドン (在位前668-627年) が作成した契約文書、そこにおされた印章です *1。エサルハドンは息子…
2. アッシリアの同一性とはどのような性格のものであったか アッシリアについて研究している渡辺和子さんは、アッシリアの一貫性を歴史的一貫性と宗教的一貫性、そして「アッシュル」という名の一貫性に求めています (文献②:288-93)。以下では渡辺さんの他の…
1. アッシリアに関する 2 つの疑問 高校1年生のときに、世界史の授業を聞いていて、疑問に思ったことが2つありました。どちらもアッシリアに関するものです。 一つ目は、「アッシリアが前 2000 年紀から前 612 年まで 1400 年近くも続いた」とは、いったいど…