世界史を、もう少し考える

高校教員が、世界史や社会学についてあれこれと書きます。(専門は社会学です)(記事の内容は個人によるものであり、所属する団体等とは一切関係はありません。)

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ゲームで世界史を学べるか —『アサシンクリード・オリジンズ』を例として—②

Ⅱ 古代エジプトを歩く アレクサンドリア図書館で勉強する人々 では、ディスカバリーツアーの内容を見ていきましょう。ツアーは、画像のようにテーマごとに細分化されています。 ツアーの例ツアーの例 内容も多岐にわたっており、政治から学問、ピラミッドな…

ゲームで世界史を学べるか —『アサシンクリード・オリジンズ』を例として—①

アレクサンドリアの街並み この記事では、ゲームを使って歴史を勉強する可能性について論じていきます *1。 もちろん、歴史の学習にあたってゲームやマンガを活用することはこれまでも多く行われてきました。たとえば、ある人物を扱ったゲームやマンガを持ち…

文献紹介:大島隆『芝園団地に住んでいます』(2019)

そういえば、ちょっと前に読んでとても面白かったのに、どういうところを面白いと思ったのか書いていなかったなと思い出し……。大島隆『芝園団地に住んでいます 住民の半分が外国人になったとき何が起こるか』(明石書店,2019) を紹介してみます。 埼玉県蕨市…

今日の優生運動をどのように捉え、どのように評価するか ②

2. 以上のまとめで見逃されるもの しかし、以上のまとめ方では新旧優生運動の重要な側面をいくつか見落としてしまう、というのが私の見立てです。今日の優生運動を評価するという本記事の目的のために、前節のまとめでは捉えられていない新旧優生運動の共通…

今日の優生運動をどのように捉え、どのように評価するか ①

*2015年に作成したレポートを元にしています* Ⅰ 序 優生思想は、歴史・現代社会に関わる重要なテーマです。高校社会科でも、公民の分野において中心的に取り上げられています。本記事では、第二次世界大戦前の優生運動 (以下、旧優生運動とする) と今日の…

論文紹介 : 大久保桂子「戦争と女性・女性と軍隊」(1997)

『講座岩波 世界歴史25 戦争と平和』(1997) より「戦争と女性・女性と軍隊」を紹介します。16世紀常備軍の姿を思い浮かべるにあたって参考になる論文です。 戦争と女性というものを考えるときに、私たちは「銃後の貢献」をする姿を思い浮かべがちです *1。し…