世界史を、もう少し考える

高校教員が、世界史や社会学についてあれこれと書きます。(専門は社会学です)(記事の内容は個人によるものであり、所属する団体等とは一切関係はありません。)

2020-05-18から1日間の記事一覧

日本の近代と法意識 ― 青木人志『「大岡裁き」の法意識』(2005) から ⑥

6. 法意識論の限界 以上で、冒頭で掲げた (1)(2)(3) の問いを法という観点から扱うことができたかと思います。(1) 法分野における近代化とは、宗教の分野が衰退し法システムが分出することに求められるが、(2) 日本においてはその分出が不十分な側面があり、…

日本の近代と法意識 ― 青木人志『「大岡裁き」の法意識』(2005) から ⑤

5. 隣人訴訟における法意識 ― 訴訟は冷淡であり、人間関係を壊すものである 訴訟回避の話に戻りましょう。穂積は個人主義的なボアソナード民法が「冷淡」であるとしたのですが、このように考える精神はどこかで訴訟回避の話へとつながっているように見えます…